« 今年も二年生とチプサンケに参加します。(8/21) | トップページ | 新聞にとりあげられました(石巻かほくほか) »

2016年8月 1日 (月)

シンポでしゃべりました。(「地域社会の変化と郷土食の保護・継承の現在」)

Img_20160801_0001_r
シンポジウム 「郷土食」「学校給食」から和食文化の保護・継承を探る
で、「地域社会の変化と郷土食の保護・継承の現在 ―北海道・東北および北陸での調査報告―」と題してしゃべりました。いろいろと問題を共有できたことと、ふだんあまり一緒に仕事をすることの少ない分野のみなさんと交流でき、有意義でした。
イベントについてはこちらから。
会場:味の素グループ高輪研修センター
開催日時 :2016年7月30日(土)13:00~17:50
共催 一般社団法人 和食文化国民会議(調査・研究部会) 主催 公益財団法人 味の素食の文化センター

------------------------------

 本報告は、北海道および東北地方の郷土食の保護継承の方法にかんする調査報告である。食文化はある出来事を契機とした再評価によって、新たな動きが促され、再活性化される。その過程においては、ある食習慣や調理法等が、風土的な特色を示すものとして地域ならではの文化と位置付けられたり、商品化等によって旧来のあり方に変更が加えられたり、原材料の供給状況の大きな変化によって食材そのものの生活のなかでの意味が変化したりと、さまざまな動きが起こる。そうした変化を孕みながら、少しずつかたちを変えつつも、結果として食文化として継承されていく点が興味深い。
 ユネスコの無形文化遺産は、古来伝えられてきた“真正な”文化を守り伝えることを求めていない。受け継がれてきた旧来の文化を保存することではなく、歴史的に構築されてきた文化をいかに現代に引き受けられるかが問題とされている。その方途がユネスコ独自の概念であるセーフガードである。セーフガーディングとは、「無形文化遺産の存続可能性を確かにするための措置」であり、その方法は認定・記録作成・研究・保存・保護・促進・拡張・伝承(特に正規の又は正規でない教育を通じたもの)・再活性化をさす。すなわち、無形文化遺産を固定化せず、生きた人間が生活のなかで表現していくということが、継承において重視されている。
 とはいえ、現代社会の構造的変化にともない、柔軟に変化して存続してきた郷土食も、その根底から継承困難な状況にある。より積極的な保護継承の手立てとして、どのような実践に学ぶことができるか、本報告では、促進・拡張・伝承・再活性化の観点から検討したい。具体的な事例としては、六つのキーワードから郷土食の保護継承の実践例を紹介したい。「家庭の味」・「地域おこし」・「名物化」・「共食」・「ブランド化」・「認証」・「ワークショップ」である。
 また、本研究のメンバーである清絢氏が報告書で紹介した、北陸地方の報恩講料理も取り上げる。この地域では、和食の無形文化遺産登録を受けて報恩講料理を観光等に活用する動きが活発化しており、郷土食がその土地に生きる人にとってアイデンティティを支える存在として再認識されている。浄土真宗が生活の軸となってきた地域において、精進料理という価値や精神の共有、そして共食の場を支える様々な仕組みが現代社会に対応して変化してきている。まさに郷土食の現代を考える最前線のフィールドがそこにはある。
 こうした事例をもとに、観光や復興での動き、食がつなぐコミュニケーション、家庭での営みなど、現代の食文化継承の営みの特色について考えてみたい。

« 今年も二年生とチプサンケに参加します。(8/21) | トップページ | 新聞にとりあげられました(石巻かほくほか) »